流通チャネル形成


海外マーケティング

 日本企業の新興国市場での苦境の主な理由として、従来は、製品の高価格が挙げられることが多かった。しかし、Oki (2013) によれば、たとえばベトナムの家電量販店では、ブランド管理に問題があり、高価格が許容される品質・機能を、新興国の現地販売店がアピールできていないことに苦境の一因がある。短絡的に、製品の価格を下げる努力をするだけでなく、そもそも製品の品質・機能を正しく伝えるための取り組みを、販売チャネルで行う必要がある。

ディーラー

 多くのオートバイ・ディーラーは家族経営で、目先の売り上げを志向し、感情面で納得しないと理屈だけでは動かない。ハーレーダビッドソンジャパン(Harley-Davidson Japan; HDJ)は、そんな資本関係のないディーラーだけからなる正規代理店制度をとり、直営ディーラーはもたなかったが、奥井俊史がHDJ代表取締役だった1991年から2008年までの間、HDJは、大型バイクで国内シェアトップを堅持し、他の二輪メーカーからは流通システム統合の成功事例と呼ばれた。表面的には「ノルマのない営業」「データ入力のない営業」「日報のない営業」が注目されたが、その裏では、Yamashiro (2018) によれば、ディーラーにHDJの意図する運営をさせるために、HDJの流通システム統合を行い、組織トップによる「毛筆書簡」及び「東京裁判」が不可欠だった。


Handbook  Readings  BizSciNet

Copyright (C) 2022 Nobuo Takahashi. All rights reserved.