環境衛生


感染症対策

 Shimizu (2021)によれば、20世紀初頭、スペイン風邪や結核が流行した頃の日本の繊維産業の労働者は、劣悪な環境の中で長時間労働に従事しており、感染症に感染するリスクも高かった。そんな中、先駆的な企業は、感染症に対する自発的な対策として、病院の設置、病気時の無償の医療提供や扶助料の支払い、寄宿舎の改善を行い、さらに工場の改善や教育プログラムの提供のような労働者福祉のための施策を導入した。このような施策が他の企業にも波及し、結果として多くの企業の労働環境が改善したことは、感染症対策が経済合理性にかなったものであったことを示している。このことは2020年からのCOVID-19に対しても環境衛生改善や労働者福祉向上が経済合理的であることを示唆している。


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