大量生産システム


流れづくり

 一般に、生産規模の拡大に伴う規模の経済性の発生は周知のごとく受け止められている。確かに規模と経済性との間には相関があるようにみえる。しかし、現実のものづくりの現場で起こっていることは、生産プロセス全体の「流れづくり」による生産性向上と生産量拡大である。実際、大量生産によって大幅なコストダウン(すなわち生産性の向上)が実現した典型例と考えられているT型フォードの生産システムでも、既存研究が明らかにしている姿は、「流れづくり」による生産性向上と生産量拡大である。たとえば、部品の標準化、生産工程の標準化、作業の標準化、等の一連の標準化によって、生産性が向上すると同時に、生産量も拡大する。すなわち、生産性と生産量の間の関係は疑似相関である可能性が高い。増産によって生産性が向上するとは限らず、事実、T型フォードでもそうだったのである(Yamada, 2014)。


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