『虚妄の成果主義』(高橋, 2004)が唱える「日本型年功制」の要素のうち、「仕事の報酬は次の仕事」であるという説をTakahashi (2015)はワクワク理論(Work-Work Theory)と呼び、日本企業で一般的に観察できるワクワク理論のシステムについて、「仕事の報酬は給料」のWork-Pay Theoryと対比しながら、その特徴を明らかにする。
組織変革を行う際に、マネジャーには抵抗を取り除く役割が求められる。そのため、これまでの研究では十分なパワーを持ったマネジャーが組織変革の必要性を認識し、変革を推進することが重要であると指摘されてきた。しかし、それだけでは不十分である。Sato (2015)は、日本の自動車ディーラーX社で同じようなパワーを持つ二人のストア・マネジャーによる組織変革の比較調査を行った。その結果、組織変革に成功した店舗ではストア・マネジャーが長期的視点を持ち、プロセス志向であった。これに対し、ストア・マネジャーが短期の結果志向を残していた場合には、店舗は時間の近視眼に陥り、組織変革に失敗していた。近視眼は常に問題となるわけではないが、営業組織のような成果が数値化しやすく、フィードバックが早い組織で組織変革を進める場合には障害となる。